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カタリスト

思考を暗所で常温保存

追憶、買います

 

 

トータル・リコール』ってありますよね

 

1990年に公開されたアーノルド・シュワルツネッガー主演の名作SF映画で

フィリップ・K・ディックの『追憶売ります』というSF小説が原作なんですけど

 

僕はこの作品の存在を知らずに

先日仙台駅の東口でふらふらしていた時に、ちょうど「チネ・ラヴィータ」で

トータル・リコール』のリメイクVerが上映されていて

お、SF映画か、これはよいと思って鑑賞しました

 

このリメイク版、興行収入的にはあまりふるわなかったらしく

あとで確認したところネットでもあまり評判は良くなかったりするのですが

基本映画は評判を一切観ないで鑑賞する派なので

個人的にはわりと楽しめました

 

21世紀末の世界大戦によって荒廃した世界が舞台で、

富裕層は現在で言うヨーロッパの地域にある「ブリテン連邦」に

貧困層は現在で言うオーストラリアの地域にある「コロニー」にそれぞれ住んでおり

その間には地球を貫通させて通した巨大エレベータ通称「フォール」があり

貧困層はそのフォールによってブリテン連邦に出稼ぎ労働をしています

 

この設定自体、

「そんなエレベーターそれだけの人口でどうやって掘ったの」

とか

「地球のコア近く通ったらえらいことになるだろ」

とか

わりとツッコミどころはあるなぁとは思うのですが

 

昔読んだ手塚治虫の『地底国の怪人』という漫画の中で

飛行機事故で父を失った主人公が「飛行機に頼らない交通網をつくるんだ」といって

「地球トンネル」というのを文字通り地球の裏側まで通すという場面があるんですが

その劇中では

新幹線のような形状の採掘機で地底をどんどん掘っていき

ある程度経つと

 

「暑くなってきたな…でも頑張るぞ!」

「中心近くだから土が固いけどもう少しの辛抱だ!」

 

くらいでけっこう難なく地球を貫通させていて

この映画もそんな感じなのかもしれないなと思いました

(ただこれをもう60年も前に描いている手塚治虫ってすごいなと改めて感じます)

 

でこの映画のタイトルが示す通りこの映画の肝は別のところにありまして

 

同じ女性が登場し一緒に逃亡する夢を毎晩のように見ながらも

労働者として美しい妻と不自由なく暮らしていた主人公クエイドは

「どんな記憶でもお売りいたします」

というリコール社の広告に興味を示し、諜報員として活躍する記憶を買います

そしてその記憶を移植されるかされないかという瞬間に

クエイドの中で別の記憶がフラッシュバックし

暴れる彼を取り押さえようとしたガードマンらを瞬殺してしまい

戸惑いながら家に帰り、妻に事情を説明すると、今度は妻が殺しにかかってくる

というバイオレンスで逆転につぐ逆転の起きるのが本作品です

 

十分お金を払って観る価値はあるなと思ったのですが

つい先ほど、シュワちゃん版の『トータル・リコール』を観終え

これは元の作品が良すぎるから評価されないのかもなと思いました

 

リメイク版との相違点には

主人公が諜報員をしていた場所がオーストリアでなく火星という点や

その火星に住む人々の一部はミュータント化しており

その原因が「行政側が作った安物ホールのせいで漏れた放射能」という

かなりブラックな点などがあります

 

シュワちゃん版『トータル・リコール』で一番強烈な印象を残すのが

マツコデラックスみたいなおばちゃんの中から出てくるシュワちゃん

のシーンだと思います

 

この衝撃はなかなか文章で表せるものではないのでぜひ実際にご覧いただきたいです

上記の「マツコの中からシュワちゃん」もそうなのですが

シュワちゃん版『トータル・リコール』には、

随所に良かれ悪かれ強烈な印象を残すシーンがいくつもあり

リメイク版にはスタイリッシュさこそあれ、印象に残るシーンがないのが

この二作品の評価を分ける決定的な差かもしれないと思いました

 

この印象に残るシーンと関係が深いのが「特撮」と「CG」ではないかなと

個人的には思います

 

シュワちゃん版は車もレトロだしディスプレイも分厚いし未来感は正直なく、

リメイク版の方が街の景観であるとか磁力で走る車の上下路線変更の場面だとか、

CGを用いたことで美しくよりリアルに表現できている部分がたくさんあったのですが

シュワちゃん版の特撮には美しさこそないものの、愛着ともなんともつかない、

観る人の記憶に残るインパクトがあることを感じました

 

特撮って本当に面白い技術だと思うんですね

僕は小さい頃『モスラ』が大好きで

モスラ』からはじまって

モスラ2』『モスラ3』『ゴジラvsモスラ』『怪獣大決戦』と

モスラが出てる作品はほぼ全て観てるんですけど

近年では特撮という技術自体がなんだか時代遅れのような扱いを受けていて

ゴジラ』も『モスラ』も『ガメラ』も

新作を作られないようになっているのが個人的にはすごく淋しいです

 

エヴァンゲリヲン』の庵野監督が『Q』の上映の前に

巨神兵東京に現わる』という作品を作っていて

『Q』を観た方はこの作品も同時上映だったのでご存知かと思うんですけど

あの作品は巨神兵も街も人も全て特撮の技術で撮影していたんですよね

で東京タワーが巨神兵に壊されるんですけど

けっこうそこで感動してしまった自分がいて

円谷プロの怪獣特撮映画では必ずといっていいほど怪獣が東京タワーを壊すんですね

あそこで壊されるのはスカイツリーでは駄目だったんですよ

そのシーンに庵野さんの特撮に対する愛情みたいなものが感じられて

本当に嬉しかったです

 

多くの人にとって追憶になってる「特撮」ですけど

庵野さんのように特撮を愛して残そうとする方がいるうちは

その残そうとする努力に対する出費は一緒に惜しまずしたいなと思いました

 

庵野さんとウルトラマンの関係についてもたくさん書きたいことがあるんですが

あまりに長くなってしまうのでそれは次回に

 

ブレード・ランナー』、新旧どちらもそれぞれ良いので

ぜひみなさまご覧くださいb

(ステマさせてくれる企業がいないブログより)