カタリスト

思考を暗所で常温保存

福島県川内村の現状について

 

どうも

 

久々のブログ更新です

 

今回は少し真面目な話を

 

今日は「東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)」の福島での現地会議をUstream配信するためにビッグパレット福島へ向かいました

 

ここを訪れるのは「とみおかこども未来ネットワーク」のシンポジウムを聴きに来て以来2回目です

実家にいる頃はだいたい日曜の昼間油断してるとビッグパレッドふくしまでのイベント情報がCMで流れていたのですが、郡山だったのでいわき市民の僕には若干縁遠い場所でもありました

 

今回の「現地会議in福島」では、様々な支援団体が仮設住宅から次の住居への移転の中で生じている課題などについて報告していたのですが、緊急でどうしても現状を報告したいという団体があり、急遽2日前に登壇することが決まったその団体の話をお聞きすることになりました

 

その団体は福島県双葉郡川内村から避難してきた志田篤さんという方が代表をしている「昭和横丁」というNPOで、川内村の方のみで構成されているということでした

 

志田さんは川内村の現状について詳しく説明してくれました

 

 川内村は2011年3月16日に原発事故を受けて村外へ避難した後、今日の会場だったビッグパレットふくしまを含む避難所での生活の後、2012年に遠藤町長が帰村宣言を発します

しかし「可能な村民は帰村する」という指示だったため、2013年12月現在、帰村者は1455名(52%)、村外の借り上げ住宅に住んでいる人々が約1600名、村外の仮設住宅に住んでいる方々は680名程とのことでした

 

志田さん自身は郡山の仮設住宅に住んでいるということで、今回の報告は、この川内村の方々が住んでいる郡山の仮設住宅に関することでした

 

 帰村した方々、借り上げに住んでいる方々にもそれぞれ課題はあるのですが、なかでも仮設住宅に住む方々は無雇用者、障害者世帯など無収入・微収入者が多く、ほとんどの方が80歳を超えているということでした

 

志田さんは

「多くの人には伝わっていないが、原発から20~30km圏内の広野町川内村の人々への精神賠償は2013年8月に打ち切られており、

今も仮設住宅に住む人々は現在は家賃の心配はないものの、これから復興公営住宅に移り、家賃が発生すると、本格的に生活に困窮してしまう」と訴えていました

 

志田さんの前には「3.11被災者を支援するいわき連携協議会」理事長の長谷川秀雄さんが報告をされていたのですが、その報告の中には、

いわき市民と原発事故避難者との間に大きな軋轢が生じており、先日は原発事故避難者が住む仮設住宅に花火が打ち込まれるという出来事があった」

という衝撃的なものがありました

 

長谷川さんの報告でさらに驚いたのは、「3.11被災者を支援するいわき連携協議会」では「第1回紛争解決講座」という勉強会を設けているという話でした

協議会では、いわき市民と原発事故避難者の軋轢を「紛争」と捉え、海外で難民問題の解決などにあたった講師の方を迎えて、講座を開いているのだそうです

 

講座は盛況で、地元の若い方々なども含め、40人以上の方が集まったとのことでした

 

悲しいことですが、いわき市民の一部は原発事故からの避難者たちに

「うちの市に税金払ってない」

東電から補償でたくさんお金をもらってる」

というイメージを持っていて、それが軋轢の原因になっています

実際に、鹿島街道のあたりの飲食店は、震災があって1年ほどの頃から平日も混雑するようになり、「避難者の人が毎日のようにいる」という話を僕自身聞いた事があります

「金銭的差別は簡単にコミュニティを破壊する」という一節がマッキーバーの『コミュニティ論』の中にありますが、現在のいわき市ではまさにそのような状況が起きています

 

僕自身、原発事故で避難を余儀なくされていた川内村の住民の方も、お金には余裕があるのだと勝手に思い込んでいたのですが、志田さんのお話を聞いて、全くそんなことはないのだということを思い知ることになりました

 

川内村に住んでいる頃には自分の先祖代々の家とお墓を持ち「家賃を払う」という行為事態、想像もしていなかった高齢者の方々が、仮設住宅から復興公営住宅へ移ると、決して多くない年金の中から家賃を払わなくてはいけなくなります

 

帰村できるのだから家に戻ればいいのでは、という声もあるかと思いますが、村民が半分しか戻っていない現状、村では十分な医療・福祉が受けられないのではという不安が現在仮設に住む方々にはあるそうです

 

志田さんは「これから川内村には二度目の試練が訪れます」とお話していました

 

見た目の上では復興が進む震災から2年9ヶ月目の今、志田さんの仮設住宅では防寒具を購入するお金すら困っている方がいらっしゃるそうです

 

イベントの後、志田さんにお話を伺いに行ったところ、特に「米」と「野菜」そして「防寒具」が不足しており、もしお願いできるのであれば、ぜひその物資支援を行ってほしいとのことでした

元々川内村は農業が盛んで、普段から野菜をよく食べていたので、今は急に野菜を摂らなくなった分、栄養バランスが非常に悪くなっているということでした

 

防寒具はセーターのような防寒着から、ホッカイロなど、本当に些細なものでもありがたいということです

 

震災というのは本当に理不尽なものだと思います

今まで正直に生きてきた川内村の人々が、震災によって人生を翻弄され、このまま原発事故を恨みながら人生を終えていくとしたら、そんなことはあんまりじゃないかと思います

 

同時に、同じ福島の人たちが「補償金」という問題で反目しあっているという状況も本当に辛く、なんとかしたいと思います

 

 

これから、周囲からお米と野菜と防寒具を集めて、直接川内村に持っていこうと思います

僕はいわきの出身です

いわきの人間から物資が届けば、「いわきの人らみんなが自分らを嫌ってるわけでないんだ」「世の中捨てたもんじゃねぇべ」と川内の人たちにも思ってもらえるのでは、と思います

 

もしこの文を読んで、川内村のために何かしたい、物資提供をしたいという方がいらっしゃいましたら、ぜひ私まで連絡をいただけるとありがたいです

ご連絡、ご質問は下記のGmailか、Twitterアカウントまでいただければと思います

nmtsicr@gmail.com

@Nemo_patitur

 

物資は責任持ってお届けします

 

震災は2011年3月11日にはじまって、現在も続いているのだと実感した一日でした

 

自分にできることを、まずはやってみようと思います

 

※追記

みなさまからいただいた支援物資を届けに、川内村へ行ってまいりました。

お米や生活用品を届けてくださった皆様、本当にありがとうございます。

志田さんによれば「ネットで川内村のことを知った」という方から多くの物資が届き、

この冬を越すには十分な物資が揃ったとのことでした。

改めて、感謝申し上げます。

 

訪問の際に、許可をいただいて動画を撮影し、自分が理事をしているNPOのアカウントで、志田篤さんのインタビューを公開しました。

川内村の厳しい現状が、当事者視点で語られています。

是非多くの方にご覧いただければと思います。

www.youtube.com

kindle本『幻覚少女』無料キャンペーン 結果報告

 
どうも
 
友人らと「99年耐久桃鉄」を企画し実行したものの、
一晩中プレイして16年しか進まず涙目だった僕です
 
午前4時半のボンビラス星が目に沁みました
 
 
さて
 
前回の記事でお伝えしました拙著『幻覚少女』ですが
5日間の無料キャンペーンを実施しましたところ
おかげさまでKindle無料ランキングで最高2位にランクインしまして
有料に戻った現在も日本文学のランキングで2位につけております
 
ダウンロードしてくださったみなさま、本当にありがとうございます
 
今回は
ちょっと突っ込んだところまでお話していこうと思いまして
 
つっこんだ話というのは、ずばり
「いくつダウンロードされるとランキングに載るの」
というお話です
 
でも
これって公表していいんかなぁと思って調べてみたところ
 
Kindleダイレクト・パブリッシング(KDP)を通じて個人出版を行う作家たちによる架空の出版集団 「電明書房」のメンバーでもある佐藤貴明さんがブログでこんな記事を書かれていて  

 

Kindleで2000冊以上売りました!(そして、そこから見える○○) 
 
 
端的にまとめますと
 
「販促目的で貸し出し数、ダウンロード数などを良いニュースとして他の人と共有する場合、公表を禁じることはない」そうです
 
 
ということでいいニュースとしてダウンロード数を公表していこうと思います
 
Kindleダイレクトパブリッシングでは、月ごとにダウンロード数の合計がレポートされています
私の『幻覚少女』のダウンロード数は
 
7月 無料配布数 779冊(3日間)
8月 無料配布数 282冊(2日間)
合計      1061冊
 
でございました
 
 
 
無料に関して言えば
一日200冊程度ダウンロードされますと確実にトップ10に載ると思います
これはAmazonからのレポートをビビリながらこまめに見ていた私が言うのでたぶん間違いないです
 
有料に関しては、一日100冊程度ダウンロードされれば確実に100位以内に入ると思います
あまり公表しすぎるとAmazonへの不利益をもたらしたとみなされるのではということで、
「このダウンロード数でこの順位に載った」という数字をはっきりと出す事は控えるのですが(ビビリ
 
 
Kindleの市場規模は現状ではこのくらいです 

 

あまり広いとは言えないと思いますが、Kindleの大きな強みは

Kindleアプリをダウンロードすればスマートフォンで読める」ということです

 

Kindle端末の普及率はかなり低いですが、

スマートフォンの普及率はもうすぐ5割に到達するそうですから、

他の電子書籍サイトにくらべ、

Kindle書籍の販売数は、これから確実に伸びていくのかなと思います(Amazonさんチラッ)

 
作品を書いているのだけどどこで公表しようか迷っているという方は
ぜひ、思い切ってKindleで出版されてはいかがでしょうか(もう一回Amazonさんチラッ)
 
ということで
Kindle作家見習い根本聡一郎からのレポートでした
 
『幻覚少女』、今日も元気に100yenで販売中です 
よかったら読んでみてねっ

幻覚少女

幻覚少女

「症状」を「少女」に変えて考えると色々乗り切れる

どうも 

桃屋の「きざみにんにく」がおいしすぎていつでも吸血鬼を殺せそうな僕です 

あまり近寄ることはお勧めできません 


気づけば3週間ぶりの日記ということで 

そうなると日記というか月記なんじゃないかみたいな話なんですけど 

何をやっていたかと言われると 

「色々やっていた」といえばそうですし 

「何もやっていない」と言われればそれもそうだなというかんじで 

NPOの理事をやりつつバイトをしている謎のお兄さんの日々は続いています

あまり近寄ることはお勧めできません 


でまぁ生活や身分が変わろうと妄想の日々は変わらないということで 

またくだらないこと考えていたんですけど 


脱水症状ってありますよね 

あの校長先生の話があまりにも長いことによって引き起こされる現象ですけど 

「症状」ってついてるとどうしても病気っぽくて 

非常にしんどいイメージがあるし実際大変だと思うんですが 


この「症状」を「少女」に変えるだけで急に元気が出るんじゃないか 


ということをふと思いつきまして 


たとえば幻覚症状 

このままだと完全にラリってしまっているヤバい人ですけどこの「症状」を「少女」に変えれば 


幻覚少女 


ほら、急に儚げで守ってあげたくなりますよね 


脱水症状も 

文字見てるだけで頭くらくらしてきますけど 


脱水少女 


こうしてしまえばなんかこう水際からすらりと陸にあがる少女の姿がね、見えてこない、来ないか… 

他にも 

 

禁断少女

 

とか


自覚少女 

とか 

更年期少女 

とか色々考えたんですけど 

一番推してるのは上のふたつですね 


で 


こんな妄想癖がたたって 
「幻覚少女」を主人公にした小説書けないかなとか考えていたんですが 
困ったことに最近書き上げてしまいました 

100ページほどの短編です 

幻覚少女

幻覚少女



電子書籍にしてみたので 
お暇な時間に読んでみてもらえたらなぁとか思います 

ただいま無料販売中です!


はい 
宣伝でした

すいません 


現在、第2作『脱水少女』を全力で執筆中です

完成をおたのしみに

日記が続かない人による日記が続かない人の特徴講座

 

どうも

 

アルソックのCM見ながら

 

これ実際にアルソックが警備出動してきた時に吉田沙保里の姿がなかったら

たとえライフルで武装した集団に囲まれたとしても、

(あ、吉田沙保里いないならまだ何とかなるかもしれない)

と犯人は勝機を感じてしまうんじゃないか

 

といらない心配をしたりするタイプの私です

せめてあの坊主のコーチだけでも出動させた方がいいんではないかと思います

 

はい

 

ひさしぶりのブログ更新ですね

 

何をはじめるときも

三日坊主にはするまいと思って

結果的に五日目くらいで頓挫する癖があるんですけど

 

このブログの記事だとか

日記なんていうのはまさにそれで

 

今からちょうど3ねんくらい前に

「三年日記」

という商品を買った覚えがあるんですよ

 

覚えというか

今物置調べたらあったので確実に購入はしているんですけど

 

この「三年日記」という商品、シンプルながらなかなか良いもので

1ページに3つの段の日記欄があって、

ページは365ページあるんですね

 

はじめの一年目は一番上の段に日記を毎日書いていって

二年目は二段目、

三年目には三段目にそれぞれ書いていき

三年間で日記が完遂するという代物なんです

 

一年目は若干装幀がいい普通の日記帳なんですけど

二年目からは前の年のその日にあったことを上の段で振り返り

(あぁ去年の自分はこんなことを考えていたんだ)と思いながら

その日一日の自分の思いを綴ることができるわけです

 

この日記の話を友人に聞いて

これは本当に素敵なものだと思ってネット購入したんですけど

案の定1週間くらいで更新が途絶えてまして

あぁ僕って本当にこういうことできないんだなと反省しております

 

何でそんなに日記が頓挫するんだという話なんですけど

これはけっこう自分なりに理由ははっきりしていまして

 

文章を書くのが嫌いなわけではないんですよ

中学くらいの時から国語は好きでなかったけど唯一作文だけは張り切って書いてたし

Twitterも「あれか、君は更新しないと死んでしまうのか?

泳いでないと死んでしまうマグロか何かか?」というくらい更新してますし

 

あれなんですよ

途中で途切れてしまうとか

不完全な状態で残っている、みたいなことがものすごく嫌なんですね

 

だから毎日日記が書けている間はずーっと欠かさず更新していくんですけど

一度途切れてしまうともうぱったりと書かなくなってしまうという

これってけっこう僕に限らず日記が書けない方の特徴なんではないかなと思います

 

あとは何時から何時までの出来事を「その日の出来事」とするべきか、

みたいなことにもものすごく悩んでしまって

 

たとえば今こうやってブログ記事を書いているわけなんですけど

今の時刻は0時10分で

これは20日の記事として処理しようと僕は思うんですね

 

これ最近は全然更新してなかったからいいんですけど

たとえば10日から18日まで毎日ブログが書けていた状態だったとしたら

もう0時00分01秒になった途端に

 

あ~もう19日じゃない~20日だ~しばらく日記書けない~書きたくない~

 

とかいう気持ちになるんですね

 

基本的にクッソ図太い性格を自負してるんですけど

日記だとかそういうものになるとこれでもかという豆腐メンタルを発揮するんですよ

 

で日記が続かない要因というのはまさにこの辺じゃないかと

自己分析いたしまして

これからはそのへん全然気にせずに

一ヶ月黙ってたと思ったら急に一日三回更新したりしようと思います

 

では本日の根本の一日三回更新にご期待ください 

(恐らく頓挫)

本屋さんと世界

 

 

どうも

 

クレジットカードを一括で切る妖怪こと僕です

 

本屋さんでのアルバイトもだいぶ慣れて

最近は脳を介さずに脊髄まででレジ打ちしているようなところがあります

 

元々塾講師と家庭教師のアルバイトしかしてこなかった僕が

急に本屋さんで働こうと思った経緯なんかについて今日は書こうと思うのですが

 

1月ころから働き出したので

某力彩芽さん主演の『ビブリオ古書堂』に影響を受けたのではないかとか

茶髪ショートカットの栞子さんはありえないだろとか

キャラ作りというかゆっくり低い声でしゃべってるだけじゃないかとか

 

いろいろ意見はありましたが

僕が一番本屋に惹かれたのは

「本屋さんには世界が詰まっている」というある先輩の話です

 

本って

コミック

文庫

文芸

雑誌

攻略本

婦人実用書

コンピュータ

ビジネス

児童書

美術書

と分類だけでも本当に様々な種類があって(本屋でははじめにこれを覚えます)

 

さらにその分類の中でも

SFや歴史や恋愛や冒険など

多種多様な分野が中で展開されており

 

本に書かれていない世界って存在しないのではないかと

そんなふうに思うことがあります

 

本には世界が凝縮されていて

その本が所狭しと並ぶ本屋には小さな世界が構築されてるわけです

 

んな大げさなと思うかもしれませんが

実際本屋でレジを売っているとそう思えることがよくあって

最近ですと

尖閣諸島付近での中国船レーダー照射のニュースがあった頃なんかは

『おひとりさま自衛隊』

という本を買っていく女性であるとか

尖閣開戦』『太平洋戦争実録』

という本を買っていくサラリーマン風の男性がいらっしゃって

全てが網羅されているとは言えませんが

なんとなく本屋の流れが世界の流れと同期してるように

感じられることはよくあります

 

でもそれは販売している本を見ればわかるのでは、との意見もありそうですが

購入する本というのがこれまたミソで

たとえばキャリアウーマン風の女性が

『性格は捨てられる』『自分が嫌になったときに読む本』

をセットで買っていったりすることがあって

購入という行為には心理状態の吐露みたいな要素が含まれてると思うんですね

「本棚はその人の頭の中だ」

と言われることがありますが、あれは真理だと思います

 

そういうわけで僕は本屋という仕事に

あまり本来的ではない方向かもしれませんが非常にやりがいを感じていて

なんにせよ「接客業」というのは一度は経験すると面白いんだなとか思っております

好奇心さえあれば、退屈な場所はこの世にないのかもしれないですね

 

あんまり詳しく書くとどこかから特定されて首になるかもしれないので

今日の内容はこのくらいです

怪しい本屋さんの今後のご活躍をご期待ください

エヴァンゲリオンとウルトラマン

 
ウルトラマンっていますよね
 
M78星雲出身で
銀を基調に赤をアクセントに使ったファッションでおなじみですけど
 
彼のモデルのひとりが観音様という話しは初めて知った時は衝撃的でした
(初代ウルトラマンの口元はアルカイックスマイルを意識してるそうです)
 
で若干昨日の内容の続きになっているのですが
もはや今の日本で知らない人はほとんどいないのではないかと言われる
アニメ作品、エヴァンゲリオンウルトラマンの関係の話を
今日はしていこうかと思います
 
たまにエヴァンゲリオンに関する独自の見解についてアツく語ったのち
エヴァンゲリオンは神話だよ、設定の深さが全然違うからね」
といったことをドヤ顔でおっしゃる方がいたりするのですが
(いつぞやの自分含め)
 
エヴァンゲリオンのそもそものはじまりは
庵野秀明監督の
『アニメでウルトラマンがやりたい』
の一言だったそうです
 
庵野さんはマニアレベルのウルトラマンファンで
毎日鏡の前でスペシウム光線のポーズをとっているという話しは
一部では有名だったりするのですが
 
庵野秀明の名前を有名にしたのも
大学時代に仲間内でとった通称『庵野ウルトラマン』という特撮の評価が大きく、その中で庵野さんは自分がウルトラマンになって怪獣を倒してたりもします
 
実際に庵野秀明監督がスペシウム光線のポーズをしている写真をみると
子どもがおふざけでやっている感じではないんですよね
もう完成された型のような風格があって
(あ、これはスペシウムそろそろ出るな)
という感覚さえ持ちます
 
そのことを前提としてみると
エヴァンゲリオンってほんとうにウルトラマンなんですよね
 
戦う敵、使徒は怪獣をそれっぽくしたもので
アンビリカルケーブル分断で発生する活動限界というのは
つまるところカラータイマーですよね
「巨大な正義の味方には活動時間に限界がある」という発想が
庵野さんの中には確かにあるようです
 
製作を手がけるアニメ製作会社「カラー」のロゴが表示される際も
ウルトラマンが変身する時の音が流れていて
 
「カラー」という会社名にはカラータイマーの意味も
含んでいるのかなと思いました
 
そしてNERVは科学特捜隊ですよね
元々、庵野さんがエヴァンゲリオンを作ろうと思った動機のひとつが
 
科学特捜隊のような、世界を救うための組織が実在するとしたら
その内部の人間関係ってどうなってるんだろう」
 
という素朴な疑問だったそうで、そこからNERVが生まれたようです
 
だからNERVの人間模様はリアルでドロドロなんですね
 
赤木親子の話なんかは子どもながらに見てる時
「うわぁ…」
と思ったんですが
あそこがメインで描きたかったところのひとつでもあったようで
道理で力が入っていたなと思います
 
新劇場版だと省略されてしまいましたけど
あのウイルス型の使徒イロウル」との対戦は面白くてお気に入りです
 
庵野さんのもうひとつの原点が『風の谷のナウシカ』なんですよね
 
スタジオジブリではじめて描いた絵コンテが「巨神兵」だったそうで
エヴァ使徒のイメージは巨神兵からも影響を受けているそうです
 
その庵野監督が去年の7月から東京都現代美術博物館で開催していたのが
『館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技』
という展覧界で
巨神兵含め、特撮に使用されたミニチュアたちを展示し、円谷英二からはじまった日本の特撮技術の素晴らしさを紹介されていました
 
庵野さんって飄々としていて人を食ったような印象もあって
あまり何かをアツく語ったりするのを僕は見たことなかったのですが
特撮博物館』のセレモニーで、司会者から最後に一言と振られた際に
ものすごく真剣に特撮についての自分の思いを語るんですね
 
政府の役人方からしたらゴミみたいなものという扱いを受けているけど
日本の特撮というのは本当に尊い技術で、だけどミニチュアを作る技術も
職人技だから、今まさにその技は絶滅しようとしている、
という話を庵野さんはとつとつと語っていて
 
本当に特撮が好きなんだな、特撮、大事に残していかなくてはな
と思いました
 
CGで特撮は不要になっていくみたいな話ありますけど
ゴジラのハリウッドリメイク版『GODZILLA』とか観れば
いかに日本の特撮に味があって
CG一辺倒の映像が薄く感じられるか体感できるのではと思います
(『GODZILLA』がクソなのはその理由だけではありませんが)
 
二回続けて特撮特撮言ってただけになってしまいましたが
特撮作品、特に円谷英二の手がけた作品って魅力にあふれているので
機会がありましたらぜひご覧いただければと思います

 

追憶、買います

 

 

トータル・リコール』ってありますよね

 

1990年に公開されたアーノルド・シュワルツネッガー主演の名作SF映画で

フィリップ・K・ディックの『追憶売ります』というSF小説が原作なんですけど

 

僕はこの作品の存在を知らずに

先日仙台駅の東口でふらふらしていた時に、ちょうど「チネ・ラヴィータ」で

トータル・リコール』のリメイクVerが上映されていて

お、SF映画か、これはよいと思って鑑賞しました

 

このリメイク版、興行収入的にはあまりふるわなかったらしく

あとで確認したところネットでもあまり評判は良くなかったりするのですが

基本映画は評判を一切観ないで鑑賞する派なので

個人的にはわりと楽しめました

 

21世紀末の世界大戦によって荒廃した世界が舞台で、

富裕層は現在で言うヨーロッパの地域にある「ブリテン連邦」に

貧困層は現在で言うオーストラリアの地域にある「コロニー」にそれぞれ住んでおり

その間には地球を貫通させて通した巨大エレベータ通称「フォール」があり

貧困層はそのフォールによってブリテン連邦に出稼ぎ労働をしています

 

この設定自体、

「そんなエレベーターそれだけの人口でどうやって掘ったの」

とか

「地球のコア近く通ったらえらいことになるだろ」

とか

わりとツッコミどころはあるなぁとは思うのですが

 

昔読んだ手塚治虫の『地底国の怪人』という漫画の中で

飛行機事故で父を失った主人公が「飛行機に頼らない交通網をつくるんだ」といって

「地球トンネル」というのを文字通り地球の裏側まで通すという場面があるんですが

その劇中では

新幹線のような形状の採掘機で地底をどんどん掘っていき

ある程度経つと

 

「暑くなってきたな…でも頑張るぞ!」

「中心近くだから土が固いけどもう少しの辛抱だ!」

 

くらいでけっこう難なく地球を貫通させていて

この映画もそんな感じなのかもしれないなと思いました

(ただこれをもう60年も前に描いている手塚治虫ってすごいなと改めて感じます)

 

でこの映画のタイトルが示す通りこの映画の肝は別のところにありまして

 

同じ女性が登場し一緒に逃亡する夢を毎晩のように見ながらも

労働者として美しい妻と不自由なく暮らしていた主人公クエイドは

「どんな記憶でもお売りいたします」

というリコール社の広告に興味を示し、諜報員として活躍する記憶を買います

そしてその記憶を移植されるかされないかという瞬間に

クエイドの中で別の記憶がフラッシュバックし

暴れる彼を取り押さえようとしたガードマンらを瞬殺してしまい

戸惑いながら家に帰り、妻に事情を説明すると、今度は妻が殺しにかかってくる

というバイオレンスで逆転につぐ逆転の起きるのが本作品です

 

十分お金を払って観る価値はあるなと思ったのですが

つい先ほど、シュワちゃん版の『トータル・リコール』を観終え

これは元の作品が良すぎるから評価されないのかもなと思いました

 

リメイク版との相違点には

主人公が諜報員をしていた場所がオーストリアでなく火星という点や

その火星に住む人々の一部はミュータント化しており

その原因が「行政側が作った安物ホールのせいで漏れた放射能」という

かなりブラックな点などがあります

 

シュワちゃん版『トータル・リコール』で一番強烈な印象を残すのが

マツコデラックスみたいなおばちゃんの中から出てくるシュワちゃん

のシーンだと思います

 

この衝撃はなかなか文章で表せるものではないのでぜひ実際にご覧いただきたいです

上記の「マツコの中からシュワちゃん」もそうなのですが

シュワちゃん版『トータル・リコール』には、

随所に良かれ悪かれ強烈な印象を残すシーンがいくつもあり

リメイク版にはスタイリッシュさこそあれ、印象に残るシーンがないのが

この二作品の評価を分ける決定的な差かもしれないと思いました

 

この印象に残るシーンと関係が深いのが「特撮」と「CG」ではないかなと

個人的には思います

 

シュワちゃん版は車もレトロだしディスプレイも分厚いし未来感は正直なく、

リメイク版の方が街の景観であるとか磁力で走る車の上下路線変更の場面だとか、

CGを用いたことで美しくよりリアルに表現できている部分がたくさんあったのですが

シュワちゃん版の特撮には美しさこそないものの、愛着ともなんともつかない、

観る人の記憶に残るインパクトがあることを感じました

 

特撮って本当に面白い技術だと思うんですね

僕は小さい頃『モスラ』が大好きで

モスラ』からはじまって

モスラ2』『モスラ3』『ゴジラvsモスラ』『怪獣大決戦』と

モスラが出てる作品はほぼ全て観てるんですけど

近年では特撮という技術自体がなんだか時代遅れのような扱いを受けていて

ゴジラ』も『モスラ』も『ガメラ』も

新作を作られないようになっているのが個人的にはすごく淋しいです

 

エヴァンゲリヲン』の庵野監督が『Q』の上映の前に

巨神兵東京に現わる』という作品を作っていて

『Q』を観た方はこの作品も同時上映だったのでご存知かと思うんですけど

あの作品は巨神兵も街も人も全て特撮の技術で撮影していたんですよね

で東京タワーが巨神兵に壊されるんですけど

けっこうそこで感動してしまった自分がいて

円谷プロの怪獣特撮映画では必ずといっていいほど怪獣が東京タワーを壊すんですね

あそこで壊されるのはスカイツリーでは駄目だったんですよ

そのシーンに庵野さんの特撮に対する愛情みたいなものが感じられて

本当に嬉しかったです

 

多くの人にとって追憶になってる「特撮」ですけど

庵野さんのように特撮を愛して残そうとする方がいるうちは

その残そうとする努力に対する出費は一緒に惜しまずしたいなと思いました

 

庵野さんとウルトラマンの関係についてもたくさん書きたいことがあるんですが

あまりに長くなってしまうのでそれは次回に

 

ブレード・ランナー』、新旧どちらもそれぞれ良いので

ぜひみなさまご覧くださいb

(ステマさせてくれる企業がいないブログより)